人気ブログランキング | 話題のタグを見る

久々に会ったかな?

気の遠くなる急坂を登り、家に着いたのが7時すぎ。
辺りは当然のごとく、暗闇に支配されていた。
住宅街独特の静けさの中、あたしは勝手口を開き、家の門をくぐる。

門をくぐり家の方角へと視線を廻らしたその先に小さな動物がいる。
ネコだ。
うちから少し離れた家の咲屋さん家の飼い猫ベクターだった。
毎度の事ながら、一体どこかから入り込むのか。

「こらっ!シャミセン!入ってきたらダメでしょ」

あたしはベクターをシャミセンと呼んでいる。
ネコの皮が三味線に使われるから。
飼い主の前では絶対に呼べない名前である。
シャミセンはチラリとあたしを一瞥した後、何事も無かったかのように歩き出した。

またいつもの場所か・・・・・

シャミセンはうちの竹林がお気に入りのようで、ヒマさえあれば忍び込み竹林で遊んでいる。
あたしはシャミセンの尻尾を掴みながら、その後ろをついて行った。
勝手口から入り、右側は車庫、左側は特に何もない広場。
そこから40歩ほど歩いた先に竹林はある。
30本にも満たない小さな竹林。
何故うちの敷地にそれがあるのか、あたしは少し前に教えられた。
あたしが小さい頃に何度も病気をし、死に掛けたことは以前にも話したとおり。
そのときに有名な占い師の人に指示されたそうだ。
家に竹を植えろと。
その子が生きていて欲しい年数分の竹を。

竹林がある場所には、以前は蔵が3つ建ってたらしい。
蔵を取り壊し、跡地に竹を植えたそうだ。
当時植えた竹の数は80本。
小さい場所に植えたせいか、上手く根付かずにその大半が枯れてしまった。
その後あたしは元気になったが、
竹のおかげかどうかは知らない。

シャミセンが竹林の前で止まった。
家は竹林を左手にして更に向う。
おじいちゃんの日本庭園を抜けた先だ。
本宅は更にその先。
今日は本宅のほうで、みんな一緒に食事すると聞いていたので、
家に入らず本宅に行くことにした。

あたしがシャミセンに早く帰りなさいよと一声かけ、本宅に向かおうとした刹那。
ザザザザーーーーーー
いっさい風が吹いてないはずなのに、竹林がざわめく。

なにかいる。

あたしは幽霊を見たことがない。
しかし、妙な気配は感じることが出来る。
今、ここにナニかがいるはずだ。
目には見えない人外のモノ。

気づいてはいけない。
ヘタにかかわると、後でマズイ事になるのは明らかである。
あたしは知らない振りをしてその場を去った。
足早に、決して後ろを振り向かず。

学校や入院先の病院ではよく経験したが、自分の家の敷地内で
こんな経験は初めてである。
本宅へ入り家族の顔を見ても、しばらく震えが止まらなかった。

あれは自縛するような存在ではなかったと思う。
自縛してるモノなら、もっと別の感覚がある。
おそらく明日には消えているでしょう。
消えると言うより、どこかに移動すると言ったほうが適当か。

木が密集している場所には、なにかがいることが多い。
とくに桜の木。
みなさんも気をつけてください。
もしも人外のモノが見えてしまっても、気づかない振りをしてください。
向うに興味を持たれなければ、そのまま逃げれます。
後、身体に塩を振り掛けることも忘れずに。

今日はゲーム内でみんなの居る場所ばっかり行ってたのは、そういう事があったからです。

by nonomiroom | 2007-11-03 02:46